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夏の夜の物語 [ものかたり]

誰にもある夏の夜の不思議な思い出でしょうか。霊とかそういう神秘主義的なものを信じない私であっても出会ってしまった不思議な体験です。その日は梅雨が明け夏越し祭りの夜市が始まる日でした。子供たちは家に帰ると浴衣に着替えて商店街に飛び出しました。たこ焼きやリンゴ飴などの食べ物屋や金魚すくい、くじ引き、射的などの屋台が並びにぎわいます。私は家が遠いので帰ると直ぐに着替えて自転車に飛び乗って商店街を目指しました。家から商店街までは2キロほどの下りです。ライトをつけて懸命にこいでいると前に水色の浴衣の女の子が歩いていました。髪が長く後ろで束ねていていかにもか細いという風で赤いサンダルを履いていました。誰だろうと思ってすれ違いざまに振り返りました、しかしぼやけた顔はいかにも白く細く更に暗くてよくわかりませんでした。まあだれでもいいか、そう思いながら友達との待ち合わせ場所に行き、皆と商店街をそぞろ歩き遊びました。さて帰る段になってそういえばさっき追い越した少女は誰だったのだろう、夜市ではすれ違わなかったが。皆と別れて帰りの坂道を懸命に漕いで上がっていると前の方にあの水色の浴衣が見えました。僕は誰だろうな、見たことないなと想いながら隣りをすり抜けようとしました。すると何かが触れたような気がして振り向きました。すると女の子の姿はなく道端の薄が風に揺れていました。ただ、これだけのことです、これ以上は何も起こらなかったのです。身の毛のもよだつような後日談も涙なしでは語れないエピソードもありません。ただ、この夜市で水色の浴衣を着た人に会った友人はいませんでした。何かが私の前に現れそして消えたそれだけのことです。

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